Coir: Common forms and applications

コイア: 一般的な形状と使用方法

「たくさんなってるココナッツ♪ ティリリリーリー♪」 父さんも温室でコイア使ったほうがいいよ、と親父にすすめると、こう歌い出して鼻で笑われるんだ。 世代間の価値観のちがいのせいでしょうか?年配の人にピートモス以外の培地を試してみようと思わせるのは、地球平面論者に月はホログラムではない、と納得させるほどハードルが高いのです。彼らには昔ながらのやり方が定着しています。しかし新たな世代は、コイアを次世代の培地として絶賛し、広く定着しています。

by Nico Hill

コイアとはココ培地の総称ですが、年配層がピートモスの代わりにコイアをあまり使おうとしない理由は、見た目がピートモスと少し似ているからです。実際には、ピートとココの栽培方法は同じではありませんが、そのちがいは、年配層にとって、まったく新しい挑戦と思わせるほどでもないのです。

コイアは、非常に優れた栽培培地です。コイアの良さを最大限に実感するために必要なことは、コイアのメリットとコイアの正しい使用方法をよく理解することです。この記事では、コイアを正しく使う方法を紹介し、コイア培地の基礎、さまざまな形態や使用方法について詳しく掘り下げていきます。

みなさん、知識は力です。もちろん正確な知識でなくてはなりません。正しい情報に正しくない情報が混ざって広まってしまうと、地球平面論のようにまったく別のシナリオが生まれてしまうのです。

ココだけ

コイアを最も簡単に (かつ、効果的に) 使う方法は、ココに何も混ぜずに単独で使うことです。すでに述べた通り、コイアには通気性、保肥性、 陽イオン交換容量(CEC)など、非常にユニークな特性を持っています。他の資材を混ぜて使うと、植物がよく育つこともありますが、かえって培地の物理性を複雑にしてしまい、植物の生長を阻害する原因にもなります。その原因を理解するためにはミックスした培地ではなく、それに使用した各素材に注目する必要があります。

ココ培地の種類

現在、評判のよい小売店には、さまざまなブランドのコイア製品が陳列されています。コイア選びで失敗したくないなら、どの製品が、あなたの栽培環境と水やり方法に合っているのかを見極めましょう。コイアは、キメの大きさで3種類のグレードがあり、流通している園芸用コイア製品は、各ブランドそれぞれが独自のレシピによって、混ぜる割合をわずかに変えて製品化しています。その組み合わせとは :

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芯/ダスト

芯/ダストは、フラッシングやバッファリングの過程で残ったとても細かなクズです。非常に保水性に優れているため発芽培地に最適です。しかし、割合を増やしすぎると目詰まりしやすくなり通気性が悪くなります。

 

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コース(粗繊維)

やや太めの「より糸」の形状をした粗い繊維で、エアポケットをつくり、水はけを改善します。毛細管作用があるため、ポット全体の保水量を均一にする効果があります。

 

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ココ・チップ

大きめで粗いチップと繊維のココ・チップには、スキマがたくさんあり、水はけが抜群です。有機培地にカテゴライズされますが、ココ・チップ単独で使用すると、ロックウールなどの不活性培地のような使いやすさと、高い栽培効率を実感できます。

バッグ? スラブ? それともブロック?

各ブランドは、3つのグレードのベストな配合比率を決めると、袋詰めをして製品化します。

一般的なのは、圧縮されていない50Lサイズのルース・フィル詰めバッグ製品ですが、本来は厳格なEN規格に沿った計量法でパッキングされるべきです。ルース・フィルのバッグは、すぐ使えて便利ですが、数十袋ものバッグを移動させるとなると、輸送の手間が問題になります。

ココ・スラブは、ロックウール・スラブと全く同じ方法でスラブ・トレイのシステムで使用できます。チップ・グレードのコイア・スラブは、ロックウールの代わりになる天然の培地というだけでなく、栽培効果が非常に高いのが特徴です。しかしこのタイプの培地への水やり方法は、やや複雑なので、面倒に感じるのであれば、手間がその中間となる繊維質グレードのココ・スラブがお勧めです。

コイアを圧縮したブロックは、持ち運びにとても便利な培地です。圧縮ブロックひとつあれば、大きくて重たいバッグを持ち歩かずにすみます。ブロックでよくある問題は、フラッシングやバッファリングが不十分なコイアがそのまま圧縮されてしまっていること、水に浸しても全体が均一に復元せず、使えるようになるまで、かなり長い時間がかかることです。しかし、最近ではプレミアムグレードのルースフィルバッグと全く同じクオリティーで、あっという間に水で復元して手間がかからないブロックも入手できるようになりました。 ただし、くれぐれも信頼できるメーカーの製品を選ぶよう注意してください。

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図 1 : カーブが急になるほど、植物が水分を吸収しやすい培地ということです!

コイアのカスタマイズ

人は常に、バージョンアップされたものを欲しがります。それがまだ買えないのなら、自分で作ろうとするでしょう。ココ培地を単独で使用するメリットとデメリットを断言するのは簡単ではありませんが、グロワーの環境によっては、他の培地を混ぜた方が良い結果がでることも、もちろんあります。ココに何かをミックスして良い結果を得るために、重要なのは、それを混ぜると何が変化するのかを知ることです。いずれにしても何をミックスしようが、変化するのは: 保水性や保肥性などの物理的性質、あるいは化学的性質のいずれか、または両方です。

物理的特性のカスタマイズ

ココ培地に、パーライト、バーミキュライト、クレイペブルスなど他の培地をミックスすると、主に培地全体の排水性と通気性が変化を起こします。形や大きさに影響するだけでなく、保水量も変わります。画像のグラフは、4種類の代表的な培地を示しています。Y軸は水分量で変化する体積、X軸は深さ(cm)で変化する圧力です。深くなるにつれ圧力も高くなり、それぞれの培地の保水量が変わります。つまり、各培地の保水力を示しているのですが、別の言い方をすれば、水を手放したがる性質とも言えます。

ロックウールの青い線に注目すると、出発点ではココよりも高い位置からスタートし、それから先に下降します。この意味は、ココよりも多くの水分を吸収しますが、水分を放出する速度も早く、最終的にココより保水量が少なくなることを示しています。そしてココの黒い点線を追ってみると、最初はピートより多くの水分を吸収しますが、ピートよりも早く水分を放出し、最終的にはピートと同じぐらいの保水量になります。そしてピートの薄緑色の線は、カーブがゆっくりと下降しているので、ピートは突出して水分をキープしたがるということが、よくわかります!

つまり、ココにパーライトやクレイペブルスを混ぜると乾くのが早くなるので、水やり回数が増えるということに、気がつくでしょう。何かをミックスすることは、ポット全体の保水力を低下させることで、さらにコイアを「水で薄め」ていることになるので、圧力が高くなった時に水分をキープする力が弱まるということです。ミックスした培地の性質をグラフ上の線で表してみると、やや低い出発点でスタートし、途中から急下降となり最終的にやや低い位置で着地することになります。

パーライトやクレイペブルス、特にいくつかの特定のメーカーのクレイペブルスをココにミックスすると変わるのは、保水力だけではありません。不要な残留塩類が混ざってしまい、ココが本来持っていた天然のCECや、バッファリングによって調整した成分が大きく崩れてしまう可能性があります。

そのため、ココにミックスする素材は、品質が確かなクリーンなものを選ぶようにしてください。

肥料成分のカスタマイズ

一般的には、ココのカスタマイズにおいて一番むずかしい課題です。すでに述べたとおりコイアは、ピートの代わりに使うことができませんが、特に化学肥料や有機肥料を加えた時に、その理由がもっとハッキリとわかります。コイアとピートの最大の違いは、コイアには陽イオン交換容量(CEC)があることです。

難解な専門用語が出てきた!と引かないでください。誰にでもわかるように言えば(失礼!)、「食糧庫の大きさ」です。つまりプラスの電気を帯びた陽イオンの肥料を吸着できる、マイナス電気を帯びた陰イオンが培地にどれだけあるか、を示すものです。

しかし、コイアはピートよりも高いCECを持つものの、それは驚くほどの高さではありません。つまり化学肥料を使用すると、ピート主体のポッティングミックスよりもココ培地のほうが肥料の持ちが悪くなることがあるということです。つまりココ培地のCECはあまり高くないため、水に溶けやすい陽イオン肥料が、ピートよりも流出しやすいのです。

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図 2 : コイアは、
ほとんどの園芸用土とミックスできます。

ゆっくり溶ける有機肥料は、水溶性の化学肥料のようにココ繊維からすぐに流れてしまうことがないため、魅力を感じるかもしれません。しかし有機肥料の成分は、培地全体の性質を変化させてしまうため、様々な問題が生じてしまいます。

有機肥料には、pHが高いものと低いものなど、特徴が様々あります。加える有機成分によって、当然ココ培地全体のpHが上下しますが、ほとんどの場合、障害がでるほど有害なpH値にまで変化してしまいます。そのため、石灰でpHバッファーをするピートモスのミックス培土では、起こりえないほどpH値が大きく変動します。

第二に、ピートモスのように長期にわたる保肥性がないため、添加するものによって、どの養分がどんな割合で存在しているのか分からなくなります。さらに、コイアに緩衝性を持たせるために吸着させてあるカルシウムに悪影響を及ぼすことがあるため、植物は、与えた培養液に含まれる一部の元素を吸収できなくなり、生長障害が発生する可能性があります。具体的には、カルシウムが減りすぎると、カリウム過剰症状が発生しやすくなります。

第三に、有機肥料を活かすためには、多様な有用菌がたくさん住みついている培地でなければなりません。市販の高品質なコイアには、有用菌の一種トリコデルマが含まれていますが、有機成分の肥効を効率よく高めるためには、トリコデルマだけでは不十分です。結果的に、有機成分が養分へと効率的に分解されないので、植物が吸収できる肥料が、ポットの中にどれだけあるのかが、分からなくなってしまうのです。

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図 3 : コイア製品には、
すでに様々な繊維の長さやタイプが製造されているのですから、
その中からニーズに合わせて選べばよいのです。

優秀な改良材としてのコイア

このほかにコイアを活用する方法は、コイア自体を改良材として使うことです。環境破壊の懸念からピートモス培地の生産量が減る傾向にあるため、ピートをベースとしたポッティング・ミックスに配合されるコイアの割合が増える傾向にあります。コイアとピートとの物理性のちがいを正しく理解し、適切に使用すれば、最高のポッティング・ミックスをつくることができます。(コイアの特性は、ミックス培土の仕上がりに影響するため、混ぜる割合は、最大で30%以下まで。) コイアはまた、屋外の土壌改良材としても優秀であり、水はけの悪い土壌のコンディション改善にとても効果的です。ふかふかな土壌へと改善し、通気性と排水性を高めます。

KISSの原則。シンプルにしておけ! 間抜けめ!

コイアそのものは、とても優秀な培地です。その使いやすさと栽培効率の高さは、他のどんな培地より優れています。それでもコイアを自己流にカスタマイズすると、当たり外れをくりかえし、迷路に迷い込んでしまうかもしれません。もしも我が道を進むと決めたのなら、決して全速力で突入したりせず、ゆっくり前進してください。カップボードの食器すべてを取り出して空っぽにしたりせず、そのままにしておくことが最善の策だと理解すれば、あなたにとっても、プラントにとっても最悪の事態を招かずにすみます。

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