なれ親しんだHPSランプからLEDライトに切りかえたグロワーは、栽培環境の変化や育ち方が変わったことに気づくはずです。しかしCANNAリサーチによる研究の結果、グロウライトが変わっても栽培管理の原則を守り、バランスよい肥料を与えれば何も変わらないことがわかりました。このふたつを実行すれば、いままで通り、またはそれ以上の結果を手にできます。

LEDライトのメリット

少ない電力で強い光を放射できる省エネルギーのLEDライトは、今日のガーデニング市場において欠かせない存在になっています。LEDグロウライトには、すべての波長を放射するフルスペクトルから、特定の波長だけを放射するナロースペクトルまで幅広い選択肢があります。また、赤外線の放射量が少ないので従来のHID(高輝度放電ランプ)と比較すると、発熱量が圧倒的に少なくなります。青色波長が多く、遠赤外線が少ないLEDの光は、草丈が低く育ち、花の密度が高まる傾向があり、全体的にコンパクトな形にまとまります。さらに、LEDから発せられる青色光やUVA波長は、収穫物の品質を高める効果もあります。CANNAの研究では、高出力のLEDグロウライトで育てた場合、HPSランプよりも草丈が約15%低くなる一方で、収穫量は15〜50%増加することがわかっています。

肥料の吸収がちがう?

収穫量や品質が向上していたにもかかわらず、肥料の吸収量に大きな変化は見られませんでした。つまりLEDグロウライトに切りかえても、使用する培地に適した肥料があれば、LED専用の特別な肥料は必要ないということです。

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次世代のグロウライト、LEDへの切りかえ ― 専用の肥料が必要?
図:設置されたHPS(左)とLED(右)の光スペクトル比較

LEDでの低温対策

LEDグロウライトは、ほとんど熱を出さないという点に注意しましょう。特に冬場は、栽培に最適な室温にするための温度対策が必須です。必要に応じて暖房器具などを使い、室温を24℃前後に保つようにしましょう。暖房以外の低温対策として効果的なのは、培養液の濃度を高めにすることです。温度が下がると葉からの蒸散量がへるので、植物の「水分摂取量」も少なくなります。そこで、培養液のEC値(肥料濃度)をやや高めにすると、植物の吸水量が減っても十分な肥料養分をおぎなうことができます。特に、LEDライト下の植物に元気がない・肥料欠乏の兆候が見られる、というときは、培養液のEC値を上げることで解決できる場合があります。

カルシウムとLED専用肥料について

LEDで栽培するグロワーのなかには、LED専用に開発された肥料や、カルシウムが多く配合された肥料を使う人もいます。その理由のひとつには、カルシウムは植物内で移動しにくい肥料成分であることがあげられます。発熱量が少ないLEDの光は、葉面温度が上がらないため蒸散量が減ります。すると、移動しにくい肥料成分が新しい葉に届きにくくなるためカルシウムを多く与えた方がいいと考えるからです。しかし、培養液のカルシウム濃度が高くなりすぎると、吸収が阻害される肥料成分があるため、かえって欠乏症がでることがあります。そのため、より確実で安全な解決法はCANNAが提供するパーフェクトなバランスのベース肥料の濃度を少し高くすればよいだけです。わざわざ「LED専用肥料」のボトルを新たにそろえる必要はありません。

光放射量が多いLED

強い光を放射できるLEDグロウライトは、植物の代謝活動を活発にするため、グロワーにとってすばやい生長と収穫量のアップが期待できます。植物それぞれには、種類ごとに「光飽和点」という限界値があり、この限界値以上の強い光を照射しても植物の生産量は増加しません。この光飽和点は、植物の生長段階・種類・栽培方法によって変わります。しかし、二酸化炭素(CO₂)を添加すると、光飽和点が高くなるのでより強い光を当てることができ、光合成運動の速さも増します。

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次世代のグロウライト、LEDへの切りかえ ― 専用の肥料が必要?
図2:ポプラ(Populus grandidentata)における、葉面温度と純光合成速度の相関関係(CO2濃度条件 : 通常/高濃度)[Jurikら、1984年]

CO₂・光・温度のトリプル効果で代謝がアップ

CO₂を添加する場合、あわせてグロウルームの温度を少しだけ上げると、植物の光合成速度はさらにアップします。CO₂濃度、強い光、温度の3つの好条件がそろうと、植物の代謝が加速し、生育と収穫量がさらに高まります。もちろん、そのぶん植物が必要とする栄養も増えるため、このような「LED + CO₂補給 + 高めの温度」という条件下では、ベース肥料の使用量を少し増やすのがポイントです。

結論はシンプル。新たに買い足すものはありません。

HIDとLED、どちらのグロウライトを使おうが、大切な基本はおなじです。植物の生育段階にあわせて温度と湿度を管理しましょう。そして、植物をよく観察しながら、気温などの環境にあわせて肥料の与え方をコントロールすればOKです。LEDに変わったとしても、HPSの時と同じく、パーフェクトなバランスのベース肥料を使うことが重要です。つまり、2つ減るものがあります。それは買い足さなければいけないと思い込んでいたボトルと、育て方に対する不安です。今まで愛用していたバランスの良いベース肥料さえあれば、新しい肥料はいりません。Enjoy Your Grow!

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