土を使わずに育てることは、ガーデナーにとって様々なメリットがありますが、最大のメリットは植物の生長段階ごとに的確な栽培管理ができること、吸収性の高い水を与えられること、培地や培土を浪費せずにすむこと(NFTなど)、があります。
その反面、管理の手間が多くなることがデメリットです。再循環システムでは植物の生長速度が早いため、こまめな培養液管理なしでは豊富な収穫は望めません。しかし培養液濃度を濃くしすぎれば、植物はすぐに枯れてしまいます。
再循環システムの使い方
土壌、ココ培地など保肥性の高い培地とくらべて再循環式システムは、培養液の管理が厳密になります。再循環システムそのものには肥料が含まれないため、植物の肥料吸収は、培養液のみにたよることになります。
そのため、植物のコンディションは、培養液によって大きく左右され、順調に育っている植物でも、たった一日培養液が不足しただけで、しおれてしまうことがあります。植物と培養液の状態をこまめにチェックする必要があります。収穫量をあげるためには、培養液のバランス管理がすべてとなります。
再循環式で最適な肥料成分を供給するための培養液管理は :
- 肥料バランス
- 培養液タンクの容量
- 培養液のpH値チェック
- 培養液濃度チェック(肥料EC値)
- 温度(水温と環境気温)
- 水質
培養液リザーバー
再循環システムの栽培では、定期的に培養液のリザーバータンクをチェックし、水量が減っていたら、培養液を継ぎ足したり、取りかえたりします。
肥料の一部成分が不足したり、過剰になったりすることを防ぐために、培養液を定期的に取りかえなくてはいけませんが、その頻度は養液タンクの容量の大きさにより変わります。
養液タンクの大きさは、植物1本ごとに培養液が5リットル、が目安です。植物が活発に肥料成分を吸収すればするほど、pH値とEC値の変動は少なくなりますが、約7~14日ごとにシステムの培養液をすべて新しくします。
これを怠ると、肥料の各成分バランスが崩れていくため、カルシウム、マグネシウム、硫酸、塩化ナトリウムなどが蓄積されてしまいます。
このような培養液は、EC値が適正濃度であっても、塩化ナトリウムの蓄積では植物の生長を阻害します。また。窒素とリン酸が不足すると、大きな葉が黄変したり(窒素欠乏症)、紫色のスポットが現れます(リン酸欠乏症)。
養液リザーバー内の培養液が減ったら、リザーバーがいっぱいにるまで補充します。養液リザーバー内の培養液が25~50%減ったら、培養液を作り補充します。
気温が高い季節や、高温下では培養液の水だけが蒸発してEC値が上がってしまうことがあります。その場合は、水道水のみをつぎ足せば、適正なEC値へ下げることができます。
培養液は、必ず定期的にすべて交換しなくてはなりませんが、使用する水道水中に塩化ナトリウム(塩)が多すぎる場合は、ROフィルター(逆浸透膜浄水フィルター)で浄水した水を使用すれば、培養液を交換する回数を減らすことができます。